Japan Environmental Exchange

清瀬金山公園と柳瀬川の豊かな自然観察の感想

JEE関東 吉宗千枝


 わたしは今年の2月にほぼ一か月、東京都の清瀬の友人宅に留守番を兼ねて滞在しました。そこはバードウォッチで有名な金山緑地公園(清瀬市)の近くで、公園に沿って埼玉県の所沢市と、東京の清瀬市をほぼ隔てて流れる柳瀬川が流れています。友人の家から公園へ行くのには、この柳瀬川の土手を通っていくのですが、その川土手の自然が非常に豊かなので、私はほとんど毎日この川土手を歩いて自然観察を満喫しました。
 川に浮かぶいろいろな種類のカモや、川の浅瀬にいるコサギ。また、カワセミが川に近い突出した小枝などに止まって、川の魚を狙って川に飛び込んでいく姿などを見ることができ、とりわけカワセミはバードウォッチャーで写真を撮る人たちの人気の的で、大勢の人が毎日カワセミの姿をとらえようと望遠レンズの付いたカメラの三脚を並べています。
私はカワセミを初めて見ることができ、大変感動しました。とりわけ、飛ぶときに青い背中が光って見えるのがこの世のものとは思えない美しさです。また、枝に止まっているときには、長いくちばし、赤褐色の腹と青い背中や頭のコントラストの美しさ。そして、突然水に飛び込んで水をパシャッとさせて魚をくわえて飛び上がるその素早さ。カワセミの魅力は尽きません。
 そこで、久しぶりにバードウォッチャーの大ベテランでいらっしゃる、JEE会員の佐藤さんを中心として、その他に以前からJEEの活動に参加しておられる二人の女性もお誘いして、2月28日に清瀬金山公園と柳瀬川の土手でバードウォッチングを行いました。
 2月ということでまだ寒さが残っていましたが、お天気が大変良くてとても収穫のある観察会でした。佐藤さんがその日の観察の記録をしてくださいました。次は佐藤さんからの報告です。
「確認した鳥は下記25種類だったと思います。
コサギ ダイサギ アオサギ ゴイサギ スズメ カシラダカ アオジ メジロ ウグイス シジュウカラ ムクドリ ヒヨドリ モズ ツグミ ハシボソガラス カワセミ コゲラ バン マガモ コガモ カルガモ ハクセキレイ キセキレイ セグロセキレイ カイツブリ(なお、バンとハシボソガラスは、皆さんと会う前に見ました)」
 また、金山公園の中の池では、カエルの卵や、カメなども見ることができ、カエルの卵を見たのは子供の頃、郷里の広島県の田んぼで見て以来のことだと思い、子供の頃を思い出しました。

 そのバードウォッチングの会からほぼ2カ月足らずですが、4月18(土)、19(日)にも清瀬の友人宅を訪れた際に、私一人でまた、金山緑地公園までの、柳瀬川沿いの土手を
何度か歩いたのですが、今回は、予想外のラッキーとして、柳瀬川で鯉の産卵風景を2日続けて見ることが出来ました。鯉の滝登りといいますが、川を遡上しながら、数匹のグループの鯉が集まって、なんだか折り重なるようにバシャバシャやって、横たわったり、身体をくねらせたりしているのです。それがいたるところで、見られるのです。
 そこにいた、魚に詳しいおじさんの話では、一匹のメスが川べりの草や浅瀬で身体をくねらせ、水をパシャパシャやって産卵するところに、何匹ものオスが寄り集まって精子をその上にかけているのだそうです。鮭の産卵と同じようなものだそうです。私はテレビで鮭の産卵風景は見たことがありましたが、鯉の産卵風景をこんなに身近に見られることは知りませんでした。しかし、そのすぐあとで、カモに卵が食べられてしまうのだそうです。ちょっとかわいそうですね。         
 それから、金山緑地公園の調整池の一番奥のところに、今、カワセミの来る場所があって、そこは本当に写真を撮るときれいな場所なので、大勢、三脚の人が並んでいました。他にも、カワセミはすぐ近くで見られるし、柳瀬川でもたくさん見られるので、遠くからも大勢バードウォッチングの人が来るのだとそこにいた人たちは言っていました。コサギも、首の後ろに飾り羽が2本長くたれていて、それは繁殖期だけそうなるのだとそこにいた人から教えてもらいました。
 また、公園内の池では2月に皆で見たカエルの卵が孵って、非常に小さなオタマジャクシが池一杯に元気に泳いでいました。
 この金山公園と柳瀬川は、人々も優しいし、鳥もすぐ近くで見られるし、さらに、もう一つの近くのせせらぎ公園では、ゲンジホタルが帰ってくる環境を復元して、毎年蛍が見られるそうです。私の友人宅は、せせらぎ公園のすぐそばなので、今年はホタルを見に行こうかな、等と思っています。
 このように、素晴らしい環境の柳瀬川なのですが、ウィキペディアによると、「生活排水が流れ込み、ゴミなども多く柳瀬川は悪臭をともなう汚い川となっていたが、1981年に清瀬水再生センターが運転を開始し、さらにボランティアによる地道な清掃活動が続いて次第に水質改善が進み、近年では釣りを楽しむ人なども多くなった。」と書いてあったので、本当に驚いてしまいました。
 人々の意識がこんなに素晴らしい自然を取り戻し、人にも生き物にも優しい場所を今、私たちが味わうことができるのは何と素晴らしいことでしょうか。
 ただ、地元の魚釣りをする人たちの話では、護岸工事が施されているため、本当はもっと岸に草などが生えていると、さらに鯉の卵も守られるし、もっと豊かな自然が取り戻せるのだけれど、それを維持する予算がないために、そこまでは実行されていない、とのことでした。しかし、今、日本でも護岸工事を破壊して自然の土手を取り戻そうとする動きもあるようです。そうすれば、もっと私たちの子供時代のような自然の豊かな環境を取り戻せるのになあ、と思った次第です。
 逆に、今は都会の方が田舎よりも自然が豊かになっているかもしれない、と思っているところです。この続きはまたの次の機会に書きたいと思います。(終)


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