「脱原発世界会議」参加レポート(1)(2)
「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」に参加して レポート(1)
J.E.E.関東 吉宗千枝
2012年の年頭の1月14日、15日の週末、横浜パシフィコという大きな会場で、ピースボートが実行委員を務める「脱原発世界会議」が開かれ、2日間で11,000人以上の参加がありました。
私は、友人と一緒に同時通訳チームの一員として参加しましたので、簡単に報告させていただきます。
この会議では、横浜パシフィコという大きな会場を借り切って3階から地下1階まで、大小の会議室やホールでさまざまなセッションが同時進行で行われ、さまざまな団体のブースが廊下に並びました。開会式では、野中ともよさんの司会で、著名人や外国からの来賓の挨拶があり、盛り上がりました。また、海外ゲストのいるイベントが大きなホールで行われるときはいくつもの同時通訳チームが分かれて分担し、その他のイベントではボランティアの逐次通訳がつきました。
私は、この会議で同時通訳を担当したおかげで、世界中で、核実験や原発事故、原発の近くに住む人たちの間に多くの被爆者がいること、また、政府の対応は、世界共通していること、加害者と被害者の構造があることを知り、世界中に思いを同じくする人たちがいることを知って、本当に感動しました。
福島の原発事故は世界中が注目しており、この事故を受けてドイツはすぐに原発をやめる決定をしましたし、イタリアも同じです。ところが、そうでない国もあります。
私が同時通訳をしたセッションは二つあり、ひとつは、14日の「世界のヒバクシャから学ぶ」というものと「原発のない東アジアをめざして」というものでした。
「世界のヒバクシャから学ぶ」では、スイスから放射線医学の専門家のお医者さんが医者としての立場からお話され、また、数多くの核実験・水爆実験が行われたタヒチやマーシャル諸島、またチェルノブイリの経験からお話されたロシアのNGOの方の発言がありました。そして、日本からは広島の被爆者の原爆症認定のために尽力されている弁護士さんからの発表があり、大変、重みのある世界の人々からの日本に対する警鐘だと思いました。
そして、2日目の「原発のない東アジアをめざして」では、韓国、中国、モンゴル、日本などのNGOの代表がパネリストで参加しました。韓国のNGOの方たちが、原爆を推進する政府に立ち向かおうとしていること、また、中国も原発推進ですが、政府からの厳しい目を縫って活動されているNGOの状況など発表され、これらの国がいかに多くの原発をこれから推進しようとしているかを知り、愕然となりましたが、これらの国でも市民の力で何とか風向きを変えようと努力されていることに感動しました。また、モンゴルでは、原発推進の諸外国(日本も含め)がモンゴルに核廃棄物の捨て場を作ろうとしたが政府がついに、国連でそれに反対する宣言をしたことは勝利であったが、その後も問題山積であるとのことでした。日本では、気候ネットワークから南アフリカの気候サミットに参加され、福島のことが話題になったとのことでした。
また、同時通訳の合間に「コミュニティー・パワーが作り出す100%自然エネルギーの世界」というセッションの見学をし、カナダやデンマークの方の発表を聞きましたが、とても示唆に富んでいました。大規模な電力会社や原子力発電所に頼らなくても、コミュニティーで発電していくことは可能だということが分かりました。また、カナダ人の方が、先進諸国の中で、電力会社の独占が行われているのは日本だけであり、特異な例だと言われたことは、非常に印象に残りました。
大変、意義深い会議で、これら全てのセッションは、インターネットのUSTREAMでオンデマンドで見ることができます。検索してみていただければと思います。
ロシアのチェルノブイリから来られた方は、日本は民主主義だからロシアよりはましだ、とおっしゃっていました。このような大きな世界会議を開くピースボートはすごい団体だとおもいました。このように、脱原発のために世界の被爆者が一堂に会したのは、今回が初めてだということです。
今は、菅元総理もざんげして反原発運動をしていかれるということで、力強いです。
「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA 」に参加して レポート(2)
中山マサ子
14日、15日の「脱原発世界会議」に参加しました。
両日で1万人以上の参加者。10万人以上の方がネットで見ていたようです。
脱原発は必須です。しかし、脱原発=再生可能な自然エネルギーというようには考えるべきではないというのが、私の意見です。エルサルバドルのリカルド・ナヴァロ氏のお話を聞いて、私自身が自分の意見に納得できました。
電気を使い放題の恩恵を受けている地球人口20%の私たちは、貧困に苦しむ80%の仲間のことを忘れてはいけないということです。原発に替えて自然エネルギーにして、今のように電気を大量消費しつづけるのかとナヴァロ氏が発言した時には、私は拍手しました。(先進国が使っている)大量の電力が本当に必要なのかを考えるべきなのです。
ソーラーパネルの寿命は25から30年と聞いています。風力発電の設置場所によっては、生態系を壊し、化学物質や電磁波による影響を私は危惧しています。再生可能なエネルギーを導入する前に十分な調査・議論をしないと人類はまた重大な間違いを犯すだろうと、私が思っていることをナヴァロ氏が発言しました。
日本の場合、原発がすべて止まっても電力不足にはならない。むしろ54基の原発を安全に廃炉にするために長い道のりを考えるべきです。今ある火力発電や水力発電を使いながら、再生可能エネルギーの使い方を議論し、早急にやるべきことは、極力エネルギーを使わないパッシブソーラーを導入した建築ができるように建築基準法を変えること。ペアガラスや庇の角度、断熱材、建築材などの工夫だと考えます。
ちなみに『第4の革命』の監督に質問しました。パッシブソーラーについてどう思うか?彼はパッシブハウスに住んでいると言いました。ペアガラスで南面の窓を大きく取っているのでサンルームのようだと。電気代は月3千円程度しかかからないと。
30カ国から約100人のゲスト。通訳を集めるのも大変だったと思います。昨年9月に開催を決めて、約4ヶ月でこんな大きなイベントを成功させてしまったということは、ピースボートの企画力と人脈はもちろんですが、脱原発への関心度の高さではないかと思います。海外ゲストの何人かは、福島を訪れ、生の声を聴き、現地の人々の痛みを深く心に刻みつけたと言います。帰国後彼らは報告するでしょう。今日本で何が起きているのかが世界に広がります。
以上は、私の個人的な感想と報告です。
韓国、中国、モンゴル、東アジアの状況と脱原発ネットワークの強化などもっと報告したいのですが、またいつかまとめたいと思います。
(中山マサ子さんはパーマカルチャーを学びながら、反核の活動もされていて、現在は京都府南丹市で有機農業研修準備中。ご縁があって、昨年末にJEEに宿泊していただいた方です)
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