Japan Environmental Exchange

J.E.E.エコはがき=ファンタスティック! ~イタリアでの反応~

中村 均司


 10月21日から24日まで、イタリア・トリノで第4回「テッラ・マドレ」(母なる大地の意味)が開催されました。テッラ・マドレは、国際スローフード協会が2004年から生産者・料理人・学生を対象に2年に一度開催している国際大会のことです。JEEのエコはがきを大会会場とイタリアの農家で配ってきました。

 スローフードは、1986年、イタリア北部ピエモンテ州のブラ(Bra)の町で、食文化雑誌「ゴーラ」の編集者だったカルロ・ペトリーニが美食の会を作ったのが始まりです。当時ローマの名所・スペイン広場にマクドナルドが開店し、ファストフードにイタリアの食が食いつぶされるという危機感がありました。スローフードはファストフードに対するものとして、伝統の食事、素朴でしっかりした食材、有機農業、健康によいもので地産地消を目的とする食品を指します。 1989年、パリでの国際スローフード協会設立大会を経て国際運動となり、1996年、3つの具体的な活動指針が定められました。

  1. 守る:消えゆく恐れのある伝統的な食材や料理、質のよい食品、ワイン(酒)を守る。
  2. 教える:子供たちを含め、消費者に味の教育を進める。
  3. 支える:質のよい素材を提供する小生産者を支える。

 テッラ・マドレはトリノオリンピックの会場で開催され、150カ国から招待者5000人、オブザーバー2000人、同時に催された見本市には3万人の参加者がありました。大会初日、カルロ・ペトリーニ会長は、「物質界の発展のみを求める時代は終わった。消費・工業社会、そして必要のないものを作っている現代のシステムが行き詰まっており、自然・農業中心のシステムに向けた革命を。利益至上主義よりも愛情・友情の重視を」と参加者に訴えました。開催地トリノ市長は「携帯電話よりも正しい食事を子供たちに与えよう」と挨拶し、喝采をあびました。彼らの演説のうまさに感心したのですが、それはローマ時代からの伝統だとか。

 大会2日目の22日はテーマ別に分科会が持たれ、分科会の会場外ではカラフルな民族衣装を着た各国の人々によって賑やかに多くのフリーマーケットが開かれていました。その一角でエコはがきを配布しました。初めは恥ずかしさと不安があったのですが、最初に受け取ってくれたのはチリの大学生でした。説明を聞いたあと、彼女はバッグから環境問題をアピールする絵はがきを取り出して、お礼として差し出してくれました。これに気をよくして、イタリア・ブラジル・スウェーデン・インドネシアなど多くの国の人たちに配りました。 "蜂蜜の今昔"のはがきを中心に配りましたが、皆さんすぐにその内容を分かってくれました。予想以上の人気があったのは"tea time"で、フランス人男性は「ファンタスティック」を連発。これは絵も日本風であったことが好反応につながったのかもしれません。「家族で食事すると美味しい」と絵はがきを示しながら説明すると、「same!(同感!)」との返答も寄せられました。"緑を使い捨てないで"のマンガを見て、うなずく人も。大会のボランティア・スタッフからも希望があり、はがきを渡しました。

 22日と23日はトリノから南東へ車で1時間半のカネリ村の農家に泊まりました。この農家もスローフードの賛同者で、私たちを大歓迎。ちょうどトリュッフの収穫期であり、掘りたての新鮮なトリュッフを毎食ご馳走になりました。エコはがきを渡すと、さっそく食堂の壁の展示コーナーに飾ってくれました。

 エコはがきは国・男女・年齢を問わず、誰からもすぐに理解していただけたと思います。ただし、置いておくだけでは駄目で、内容を説明しながら、いっしょに笑ったり共感したりするコミュニケーションのツールとしても大きな役割があることを感じました。


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