北京での環境交流展の報告
「日中市民環境(3R)交流展」
場所 “中国科学技術館”B館1F
期間 6月10日~15日
主催 日中友好環境保全センター、日本環境保護国際交流会(J.E.E.)、3R検定実行委員会、
びっくり!エコ100選実行委員会、独立行政法人国際協力機構(JICA)
毎朝、宿泊施設~イベント会場まで、オリンピックスタジアムの前を通って行った。スタジアムはまだオープンされていず外観は、銀色に塗られた写真で見るとおりの“鳥の巣”だった。 会場の“中国科学技術館"は広い敷地内に、ひよこが卵から孵るところから宇宙衛星の技術まで、文字通りの科学技術を展示した建物の1つにあった。
会場には漫画家ハイムーン氏(本名・高月紘 石川県立大学教授)の環境漫画20点をメインに展示。私たち市民活動の展示とワークショップ、3R意識調査アンケートなどを行なった。今月号の会報ではJ.E.E.が担当したものを載せた。アンケート結果などは次号に。
日本のスタッフの皆様、中国のスタッフの皆様、通訳の皆様、中国語訳をしてくださった皆様、漫画家協会様、広報活動してくださった皆様、その他このイベントに協力してくださった皆様に紙面をお借りして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました!
会場入り口に並んだスタッフ
共感をよぶハイムーン(漫画家、本名 高月紘 石川県立大学教授)漫画
“ハイムーン環境マンガ展”のコーナーでは漫画家協会が所有している、氏の大きな漫画の原画を飾り、題名は中国語でつけた。大人にもこどもにもわかる絵なので、皆熱心に見てくれた。子供に熱心に説明する父親や母親の姿、カメラに収める姿も多かった。「私もシンプルな生活を心がけるようにします」との感想や「日本の家屋は木造で冷暖房の効率が悪いと思うが、どのようにしているのか」等などの質問もあった。通訳者は常に1人以上はいてもらうようにしてもらったが、中国語が喋れない私たちなので、引っ張りだこだった。
ハイムーン氏の、持参した環境まんが原画
「ハイムーン(漫画家、本名 高月紘 石川県立大学教授)のマンガ教室」ワークショップ
“まんがを描いてごみをへらそう”のテーマで開いたワークショップは北京市内の30数名の子供たちが参加。
まず氏により、まんがは世界の共通語であるというスライドが映され、まんがの描き方の説明や練習が実際にマーカーを使ってされた。その後、どうすればごみが出ないようになるのか、とアイディアをグループで話し合い、考えがまとまればそれを一人ずつが自分の画用紙にクレヨンで描き、最後に発表した。どの絵も未来の持続可能な社会を考えたアイディアでいっぱいだった。たとえば、「多機能自動車」と題して、車の下から出た足がペットボトルのごみを拾い、飛んでいる鳥の糞と、ミツバチの蜜とを中で混ぜ合わせて、製品を作りだしていく、というようなものだ。話し合いの時には「どんなごみが出るかな? どのくらいの量がでるかな?」ということから始めたが、北京では家庭ごみの定期収集日がなく、居住地域のごみ箱にいつでもポイとすてるので、ごみの量については子供も大人も「わからない」という返事。これが日本とはいちばん異なっている点だろう。スタッフは困ってしまったが、ちがう角度から話し合った。
発表態度は小学生でも堂々としたもので、前置きなどを交えて説明する口調に驚いてしまった。中国では人の前で喋ることを訓練するらしく、このことは日本人が見習わねばならない点である。
中国サイドのスタッフからは、「環境教育といっても、何をどのようにすればいいのかわからなかったが、ハイムーン氏によい視点を与えていただき、大変有意義だった」等のことばが寄せられた。
日本でも環境教育はまだ始まったばかりだが、今後も学び合いたいと思う。
「噴出しを描いて…マンガでは動物も喋れます」とベレー帽を被ったハイムーン氏
小学生の描いたまんが
楽しく 「マイバッグに絵を描こう」 ワークショップ
“マイバッグに絵を描こう”は、専用のクレヨンで京都から持参した布袋に絵を描き、アイロンで定着させたのだが、描かれた絵は花や木や鳥などの動物、The
Loved EarthやI Love Beijing のメッセージなどそれぞれの想いが表現されたものであった。
「この袋をいつも持って行き、レジ袋はもらわないでね」というと、こどもも大人も皆が「もちろん!」とうなづいてくれた。エコロジーということと共に、布に絵を描くと言う行為が珍しく、年齢に関係なく楽しい作業だったようだ。80枚の布袋は全部使ってしまった。
布のマイバッグに好きな画をかいた
「ふろしき・ビュンビュンごま・おり紙と北京のこどもたち」
6月からレジ袋が有料になった中国の人たちに、ふろしき文化を伝え、マイバッグを示そうと思ったが、期待したほどの反応はなく、中国語を話せない大きな壁にはばまれてしまった。
一方、牛乳パックの底を再利用したビュンビュンごまは、大人の方は知っている人が多く、 こどもと一緒に作ってくれ、ビューン、ビューンと音を鳴らしてまわるこまに笑顔がはじけた。持参した40個がすべてなくなった。
裏再生紙を使ったおり紙では、ツルや風車を折って見せたところ、好評だった。
3R(リデュース、リユース、リサイクル)にどれほど貢献をしたかと思うと心もとないが、一人っ子のこどもと両親の交流、そして日本との心の行き来ができたのではないかと、嬉しく思っている。(河崎素子)
ビュンビュンごまやふろしき包みを見せる河崎さん
お茶の交流
環境問題─とても複雑で奥が深いと今回の中国訪問で感じた。食べもの、ゴミ、エネルギー、資源、生活スタイル、文化、風土風習、経済、政治などが絡まりあって環境問題があるのだ。そこは日本も同じ。しかし、日本人よりも中国人の方がお金を稼いで生きていくのが大変そうだと思った。生活に余裕がないのに、生きていくのに精一杯なのに、「環境を大切に」「CO2を減らそう」「資源を大切に」と掲げてもピンとくるのだろうか……?
ハイムーン氏の漫画に「お茶の時間」というのがある。
昔はお茶を入れるのに時間がかかったけれど、ゴミは出ない。現在はペットボトルですぐ飲めるかわりにゴミが出る、という事を絵で表現している。私は茶道を習っているので、日本から抹茶と道具を持って行き、浴衣でお茶をたてた。お茶の方は少々にががったのか、あまり受けがよくなかったが、浴衣姿は喜んでもらえた。
環境のことをうまく伝えきれなかったが、今回の北京展で、実際に中国の人達と触れ合い素敵な笑顔と触れ合う中で、私たち市民は一人の人間として、国境に関係なく、想いを語ったり、交流することがとても大事な事ではないか、と強く感じた。♪♪♪(野寄和佳)
ハイムーン氏のまんがの前で、こども達と浴衣姿が好評の野寄さん(左) 細木(右)
そして、かいま見た北京のレジ袋事情
今回のイベント会場が北京ということで、私のいちばんの関心事は、「レジ袋が6月1日から有料化になった」ということだった。時間が取れなくて、スーパーを2回見ただけだが、ほとんどの人がマイバッグを持ち、またはスーパーのオリジナル・マイバッグを持っていた。レジ袋はどの店も、土産店でさえも全く渡さず、欲しいというと「お金がいるよ」と、見本用に手に入れたいと思っても、なかなか渡してもらえず、お金を差し出すとやっと渡してくれる状況だった。
値段は店によって異なり0.2から0.3元くらいのようだった。(1元=約15円)
日本では私たち市民グループが二十数年前から呼びかけていても、まだ一部の店でしか有料になっていないのに、中国でのこの素早い制度化には、いくらオリンピックを意識しての環境政策を示すものであっても、なんのトラブルも起きていない様子に、驚いてしまった……。
会場へ訪れた主婦に聞くと、「今年の1月にそのような知らせを聞いた。マイバッグをいつも持っています」「始めての日は知らず、ハンドバッグにぎゅうぎゅうに詰めて帰った」など、わざわざお金を出してまで買う人は見当たらなかった。
ひどい大気汚染
空は晴れていても太陽が見えなかった。やっと見えてもぼうっとかすみ、じっと見ていても目が痛くならないほどであった。これらは、建物を壊したり土木工事の砂ぼこり、1日に1,000台も増えているという車からの排気ガス、工場の煤じん等浮遊粒子状物質(SPM)のせいらしい。
政府はオリンピック前には土木工事や工場の操業をストップし、車はナンバーの奇数と偶数にわけて交互に走らす、などの対策を取るようだが、それで解決するだろうかと思われる。 ごみの分別箱は空港、スーパー、マンションなどあらゆる場所に置かれているが、私たちが中を覗いたところでは、分別されていず何もかも一緒に入っていて、収集に来る人が車の上で分別したり、市民が分別箱から売れそうなものを取り出している光景にも出会った。これらレジ袋有料化のこと、せっかく置いてある分別ごみ箱が活用されていないことの現状を見て、中国の一般市民は地球環境問題をどのように認識しているのだろうかと考えさせられた。
私たちはハイムーン氏の環境漫画を見てもらい、ワークショップやアンケート等をしながら、北京の市民の人たちに、今地球が壊れていっているが、それを止めることは身近な日常生活の中ででもできる、ということを伝えたかったのだ。
今、世界に大きな影響を及ぼす中国が、オリンピックを機に環境問題の意識を高め、解決への施策を進められることを切に望んでいる。
そして、私たち市民グループにも何かできることがあれば、協力させていただきたい気持ちでいっぱいだ。(細木京子)
3月に作成した「GOMIC/CD」がさっそく利用されて大きなパネルになっていた
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