ADB(アジア開発銀行)京都総会・市民フォーラム国際ワークショップ(2007.5.6)
「日本の廃棄物輸出政策 3Rイニシアティブと経済連携協定」に参加して
藤本実千代
先日、地上デジタル放送に完全移行したら、今までのテレビはどうなってしまうのだろうね。という話をしていた。TVメーカー団体予測では、最大6,400万台がゴミとなるそうです。今回、そのゴミとなったテレビの行方を映像で見ることができました。とてもショッキングな光景でした。
私たちが出した電子・電気廃棄物は、リサイクル業者に回収されても、とても高く売れるからと9割が海外へ流れるそうです。映像では、日本やアメリカ、その他先進諸国からやってきた廃棄物の山から、使える部品だけを取り出し、売ることで生活をしている中国の人々の様子が映っていました。わずかばかりの売れる部品を取り出すためにマスクもせず、ゴム手袋をするくらいで鉛を溶かす作業をしていたり、塩酸を使った行程に携わっていたり、それはひどい状況です。ほとんどがリサイクルできず残ったこれらの電子・電気廃棄物は、河原に捨てられるか、燃やされるかしていました。もちろん、有毒ガスがもくもくと出て、河も汚染されて真っ黒です。その地域の人々は安全な飲料水も得られないため、遠くから水を運んでいました。
難しいことは分かりませんが、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約というものがあります。聞こえはいいようですが、輸入国の同意があれば輸出できるという欠陥があるので、このままではどんどん日本の廃棄物が途上国に捨てられていきます。これを食い止めるのに、バーゼル条約禁止修正条項があります。残念ながら日本とアメリカなど数カ国がこれに反対しています。
この問題と並行して、日本フィリピン経済連携協定(JPEPA)や日本タイ経済連携協定(JTEPA)などの問題も取り上げられていました。JPEPAの関税表では「日本語版」と「英語版」があって、英語版テキストには廃棄物が明示されているのに、日本語版テキストには廃棄物が含まれていることが分からない仕組みになっているとのこと。フィリピンからのプレゼンターは、この協定が結ばれることで、今度はアメリカがフィリピンに協定を強いてくるに違いない、そうなると本当にフィリピンは日本とアメリカのごみ箱になってしまう、解決法は川上療法、廃棄物の流れを止めようと力強く訴えておられました。その彼の姿を忘れないように、できることからやれることをやるしかないと思いました。
ワークショップ主催連絡先:
科学物質問題市民研究会 Tel/Fax 03-5836-4358 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
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