Japan Environmental Exchange

ネパール便り

プラモド・ラムサル(在 ネパール)


 昨年の11月にネパールから一通のメールが届きました。「私はネパールのカトマンズー大学の環境科学科で資源管理を研究しています。インターネットでJEEのことをしり活動内容にとても感銘しました。JEE会員になりたく、また、JEEと協力して環境教育をこちらでできたらと考えています。」と。J.E.E.メンバーへようこそ!初のネパール会員です。数回連載しますのでお楽しみ下さい。

はじめに・ネパールの地理

 ネパールは、中央ヒマラヤ山脈の南の麓、14,718m2の広さの国です。北緯26°22'と30°27'、東経 80°40'と88°12'との間に位置し、インドの北、中国の南にあります。東西の距離は平均885km、その幅は145kmから241kmに及びます。南北は193kmで、国土の86%が山脈に覆われており、残る14%がTeraiという標高300mにも満たない平野です。Terai地域では海抜60mのところもあれば、エベレスト(Sagarmatha)の最高峰は8,848mにもなります。
標高差があるため、様々な気候風土を持ち合わせ、動植物の構成から、雨、雪、気温など多様な生態系を生み出しています。
 2,320万の人々は、48.5%がTerai地域、44.2%が丘陵地帯、7.3%が山脈地域に住んでいます。平均人口密度157.73人/km2、最高330.78人/km2でTerai地域に集中しており、丘陵地帯で167.44人/km2、山脈地域で32.62人/km2となっています。5つの地域が発展しており、中央部に総人口の34.7%が、次いで東部23.1%、西部19.6%、中央西部12.9%、西部遠隔地域9.5%が居住しています。1981年から1991年までの平均年間成長率は2.08%、Terai地域の成長率がよく、山脈地帯が低くなっています。

経済を左右する自然資源

 国の経済は自然資源に深く結びついています。農地、湿地、森林、保護区とありますが、20%のみが農地や政治的にも経済活動を営んでいる部分です。
 全体農地の55.7%がTerai地域に、37.3%が丘陵地帯、6.9%が山脈地域にあります。50%の家庭が農業で収入を得ており、人口の80%が従事、国の生産輸出部門に影響しています。
 ネパールは水が豊富で、約2万?/秒の水量が川を流れています。水力発電量としては、最高45,000MWまで発電できるでしょう。灌漑用水としても、耕地の90%をカバーできるでしょう。
 人口の増加で、居住地、牧草地、燃料採掘、農地開発をしてきたため、もともとあった森林の一部が残るだけとなっています。現在国土の29%のみが森林です。このように農耕地開拓により森林が減少、森が少なくなっています。
 それに加え、洪水や地すべりのような自然現象により、年間20-25 t/haの土砂が流れ出しています。
 しかし、森林地帯が減少しているといっても、森林地帯はネパールにとって魅力的なエコツアー誘致場として重要です。国立公園や森林地帯も含め、保護区ツアーが外貨獲得に寄与しており、国の最重要経済となっています。外貨獲得の財源として、観光事業が第二位となっています。1999年には、観光で訪れる人の数が421,188人に達し、年間8-10%の伸び率です。1998年、99年では、観光客の約45%が自然保護区を訪れています。

チトワン国立公園、アンナプルナベースキャンプ、サガルマータ国立公園(エベレスト山)、ランタン国立公園、これら四ヶ所が多くの観光客を受け入れてきており、これからも増える見込みです。

保護区一体に集まる観光関連事業によって国も潤い、経済の持続と共に、保護区の維持活動にも関与できるのです。

(つづく)


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