自然農の稲刈り体験
JEE 関東 吉宗千枝
10月8日と9日の連休は、友人に誘われて、長野県小諸市の自然農をされている美斎津(みさいず)さんという方の稲刈りを手伝いに行きました。普段は、お一人で自然農をされていて、地元や長野市の希望者50名くらいに米や野菜や果物を売っていらっしゃるそうですが、田植えや稲刈りのときは、自然農を知ってもらうためや、援農イベントということで、長野や小諸から毎年サポーターが手伝いに来られるのだそうです。といっても、自然農体験と懇親会が主なので、田んぼ一枚をみんなで気楽に稲刈りするということだそうです。ということで、私も気楽に参加させてもらいました。
私と友人は、8日の朝早く車で家を出たのですが、何しろ連休ということもあり、関越自動車道が非常に混んでいたため、現地到着は11時頃になってしまい、既に稲刈りは、長野から来た方たちが作業して3分の2くらい終わっていました。それでも、稲刈りは初めての体験なので、私も稲刈りをさせてもらいました。自然農なので、草が生えている中にイネが一株づつ植えられていて、刈るのは難しくありませんでした。稲刈りをした後は、それを束ねてわらで縛り、田んぼの中に立てたはでに架けていきます。そして、自然干しをするのです。
かつて私が子供の頃は、実家(広島県)の田舎ではみんな農家の人はこんなやり方ではでを立てていました。懐かしさがこみ上げてきました。昔は、稲刈りというとこうやって、みんな手作業で、みんなで協力してやっていたのですね。今は全て機械でやってしまいますが、何か味気ないですね。昔のほうが本当に季節ごとに生活の味わいがあったと思いますし、昔は全て自然農業だったわけですから、自然の恵みに感謝していたと思います。
稲刈りをした後、田んぼを歩いて落穂拾いも初体験しました。稲刈りをした後の田んぼにはたくさんのかえるや、虫がいました。特に私が驚いたのは、かまきりがたくさん出てきたことです。かまきりって、益虫なんでしょうか?もしかしたら、害虫を食べてくれるのかしら、と思いました。本当に自然はうまくできているものですよね。かえるも、いろんな害虫を食べてくれます。また、同じ田んぼの隅の方では水がたまっているところで、はす(レンコン)が植えられていました。はすの花があったところには実がなっていました。レンコンは地下茎でもふけるけれど、実もなるので、実を植えて育てることもできるそうです。
はでかけが終わったあとは、皆で小屋へ移動して、いろんな自然農の産物で作られたものをいただきました。すべて、自然農法でできたもので、秋の味覚を味わいました。
また、その小屋の隣には、ヤギ2頭と、ニワトリが20羽くらいが入れられた、かなり広い小屋があり、そこでニワトリがのびのびと歩き回っていました。私もその中に入ってみたのですが、ニワトリがものすごく人に慣れていて、寄って来ます。ヤギも近づいてきて人との交流を求めているみたいでした。これらの小屋も全て自分で手作りされたそうです。また、今ももうひとつの小屋を手作りされていてまだ途中なのですが、こちらのほうは小屋というより、屋敷のような立派なものでしたが、仕事の合間に作られているので、作り始めてからもう4年掛かっているそうです。山から取ってきた土で土壁を作ったり、とにかく全て手作りされているようでした。私も田舎で育った子供の頃、父が全て手作りで家の改造をしたりしていましたので、またまた、懐かしさがこみ上げてきました。
この場所の、標高は700メートルくらいなのでしょうか。場所的には、浅間山の山ろくで、近くに浅間山を眺めることができました。その日の夜は、山の上のほうの旅館の日帰り温泉へ行き、露天風呂を満喫しました。そこの露天風呂は旅館よりもさらに山の上にあり、露天風呂から見る夕焼けはとてもきれいで、小諸の町が一望できました。宿泊は、標高1000メートルの林間にあるユースホステルに泊まりました。そこは、まさに浅間山の山ろくで、浅間山登山もできるそうで、火口のすぐそばまでいかれるそうです。ユースホステルの方が夜、宿泊客に近所の見所を詳しく話してくださいました。近くに花の種類の多い湿地もあるそうでまた、是非行って見たいと思いました。
東京に帰ってから、自然農でできた野菜果物を分けていただいたものを味わいましたが、本当の味がしました。紅玉リンゴも小ぶりで見かけは非常に悪いですが、食べてみてあまりのおいしさに驚きました。その他、ブドウも自然の味わいがしました。改めて、自然農を見直した次第です。ただ、こういう見かけの悪いものは、一般の商品向けに大量生産した見かけのよい野菜果物の流通には絶対に乗りませんから、そういうものばかり食べていたら、本物の味が忘れられてしまうのでしょう。小諸でも、もちろん周りの農家はすべてモノカルチャーで、商品作物のレタスが大量生産されていました。でも、本物の味を忘れてしまわないように、自然農の体験をもっとしてみたいと思いました。
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