きくちゆみさんを囲むビデオ上映会に参加して
－ ビデオ＆本の紹介 ―

山上公実

　昨年11月20日、きくちゆみさんを囲むビデオ上映会（ギャラリー・エイコンズビレッジにて）に参加しました。　主な上映作品はドキュメンタリー映画『911ボーイングを探せ』と『テロリストは誰？』でした。この2つの作品を04年に翻訳・配給されたきくちゆみさんは、以前JEE総会でお話をして下さったこともあるそうで、ご存じの方も多いとは思いますが、ひとまず簡単に彼女のプロフィールを紹介します。

★マスコミ、金融界での勤務を経て、92年ブラジルで開催された地球サミットにて「NGO条約」の作成に関わる。自給自足的生活をめざし、98年東京から千葉県鴨川に転居。99年より環境問題をライフワークとし、日本全国はもとより世界各地で平和・環境をテーマに積極的に講演を行いながら平和ムーブメントを発信し続ける。4児の母。★

　上映会のまず始めに、2002年から2003年にかけてインターネットで見ることができたという、アメリカ兵による「マンハント（人撃ち）」の映像を見ました。　マンハントはジュネーブ条約で禁止されている行為です。映像では、軍事施設への攻撃だけでなく、アフガニスタンのある村の逃げまどう住民を、アメリカ兵がまるでテレビゲームでもしているかのように上空から攻撃する様子が映し出されていました。　住民はたまたま巻き込まれたわけではなく、村の住民全員に対する意図的な殺戮であることは明らかでした。これはペンタゴンの極秘内容の告発映像だそうです。
　『911ボーイングを探せ』は、2001年9月11日に起こった出来事を、アメリカの主要テレビ局の映像と発行された雑誌や本を使って制作されたものです。時間に限りがあったのでビデオの一部を見ました。ペンタゴンに757型機が本当に激突したのかどうか。また、サウスタワーに飛行機が衝突する瞬間映っている閃光に注目すれば、サウスタワーの崩壊は爆発か起爆装置かミサイルにより発生したものと考えられるのではないか。浮かび上がるこうした数々の疑問点のもと、9月11日には実際何が起こったのかについて、複数の人々の証言や別々のカメラが捉えた映像から再検証していました。
　『テロリストは誰？』は二時間ほどある記録映画ですが、今回見たのはCIA（米中央情報局）元高官ジョン・ストックウェル氏が証言している場面でした。CIAは過去40年の間に数々の戦闘作戦を遂行してきたこと、第三世界に対する戦争をすすめてきたこと、朝鮮、ベトナム、アフガニスタンで繰り広げられた戦争では、CIAが関与し、麻薬取り引きが大いに関係していたことなどを告白していました。
　　　きくちさんは映像を途中で何度も一時停止して内容を詳しく説明して下さいました。アメ
リカは独立戦争以来「戦争中毒」にかかっていること、アメリカのメディアがかなりコントロー
ルされていること（例えばイラク戦争の始まる前、25万人も集ったサンフランシスコの反戦デ
モは情報操作されたり、TVではまったく報道されなかったり）など、軍事力の弱い第三世界
の国をターゲットに攻撃する弱い者いじめのアメリカの本質について述べられました。
　　　これらのビデオ、DVD、ガイドブックは購入可能です。また最近出版されたブックレット
『これ以上騙されないようご用心！』（憲法9条・メッセージ・プロジェクト発行）でも、ビデオの
内容ときくちさんの解説が記載されています。興味のある方は是非ご覧になって下さい。
その他、きくちさんが日本版の刊行・翻訳を手掛けられたものに、『戦争中毒－アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由』（ジョエル・アンドレアス著、合同出版）という漫画があります。著者の作家・社会学者ジョエル・アンドレアス氏は、この漫画の中で、アメリカ軍国主義、軍産複合体（軍事産業の維持・発展を推進するための企業と軍隊からなる利益追求集団）を鋭く批判しています。また、アメリカの歴史に触れながら、一部の政治家、富豪、軍人たちの富のために、いかにして戦争が仕掛けられ、アメリカ国内外でどれだけ多くの犠牲者が出ているかなど、メディアでは取り上げられていないような内容をもり込み、イラストと共にわかりやすく説明しています。『戦争中毒』の販売部数は、現在のところアメリカで20万部、日本で7万部ほどで、デモの際に市民が配り歩いたり、一部の高校では教科書にもなっています。
　また、この本をよんで軍隊に入ることをとどまったという人の数が増えてもいるそうです。この本を10冊まとめて購入すると、13,000円のところ、3,000円割引の10,000円となります。また販売額の2割を使ってアメリカの学校に本を寄付するというサポーター制度もとられています。
　戦争を目のあたりにすることなく、限られた情報しか持たずに過してきた私ですが、この会に参加して多くを知ることができました。きくちゆみさん、そしてエイコンズビレッジの阿部ひろ江さん、本当にありがとうございました。